ターゲットイヤー型は、年がたつと配分が自動で変わる投資信託。名前の「2040」の意味と、未経験が目論見書で確かめる3つ
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投資信託の中には、年がたつにつれて株式と債券の配分を運用会社が自動で変えていくものがある。これをターゲットイヤー型という。投資信託協会(現・資産運用業協会)は2008年3月のメールマガジンNo.153とNo.154で、年齢とともに変わる「投資家が取れるリスクの大きさ」に合わせて設計する投資信託をライフサイクルファンドと呼び、その中をスタティックアロケーション型とターゲットイヤー型の2つに分けて説明している。名前に「2040」のような年が付いている商品を見かけたら、ほぼこの仲間だ。未経験のうちに名前だけで選ばないように、2つの違いと、目論見書で先に確かめる3つの点を整理する。

ライフサイクルファンドは2種類ある
協会の説明の土台はこうだ。20代や30代は定期的な収入がこの先も長く続くと見込めるので、取れるリスクは大きい。定年が近づくと収入の見込みが細るので、取れるリスクは小さくなる。この変化に商品の側で合わせようとしたのがライフサイクルファンドで、合わせ方が2通りある。
| 型 | 配分は誰が変えるか | 名前の数字の例 |
|---|---|---|
| スタティックアロケーション型 | 投資家が別のファンドへ乗り換える(配分は各ファンドで固定) | ○○50ファンド、○○20ファンド(多くは株式の割合) |
| ターゲットイヤー型 | 運用会社が時間の経過に合わせて変える | ○○ファンド2040、○○ファンド2010(年) |
スタティックアロケーション型の例として、協会は国内株式50%・国内債券30%・外国債券20%のAファンドと、国内株式20%・国内債券60%・外国債券20%のBファンドを挙げている。退職などで取れるリスクが下がったら、AからBへ乗り換える。この乗り換えは多くの場合、手数料がかからない仕組みになっているという。
自分の積立に当てはめてみる。月3万円をAファンドに入れれば、国内株式に向かうのは1万5,000円、国内債券に9,000円、外国債券に6,000円になる。Bファンドなら国内株式は6,000円で、国内債券が1万8,000円に増える。同じ3万円でも、株式に回る額は2.5倍違う。乗り換えのボタンを押すかどうかで、この差を自分で切り替えるのがスタティックアロケーション型だ。
ターゲットイヤー型は、1本の中で配分が動く
ターゲットイヤー型は、先にある年(ターゲットイヤー)を決めておき、その年が近づくにつれて株式の比率を下げ、債券の比率を上げていく。協会の例では、20年後を目標にした投資信託は、設定から数年は株式を多めにしてリターンを狙い、目標の年が近づくと国内債券や短期金融資産を少しずつ増やす。目標の年には資産の大部分をそうした資産に置き、その後は比率を変えない。この状態を安定運用と呼ぶ。

倉庫の仕事でいえば、スタティックアロケーション型は、重い荷物用と軽い荷物用の棚を別々に用意しておき、自分で荷物を移す方式だ。ターゲットイヤー型は、出荷日が近づくにつれて現場の担当が勝手に荷物を軽い棚へ移していく方式に近い。自分で移す手間はないが、移すペースは担当が決める。
協会もこの点をはっきり書いている。ターゲットイヤー型は自動で比率を変えるので手間はかからない。ただ、始めた時に想定していた状況と、実際の自分のリスクの取り方がずれることがある。そういう人には、自分でファンドを選べるスタティックアロケーション型の方が合う場合がある、という説明だ。
名前の年は「安定運用を始める年」か「償還の年」
ターゲットイヤー型の名前に入っている年は、ファンドによって意味が違う。協会の説明では、一般的には安定運用を始める年か、償還(運用を終えてお金を返す)年を示している。「○○ファンド2040」が安定運用を始める年を示しているなら、2040年から比率を動かさない運用に入るという意味になる。
同じ「2040」でも、償還の年なら2040年で運用そのものが終わる。前者なら2040年以降も持ち続けられるが、後者なら2040年にはお金が戻ってくる。名前の4桁だけでは、どちらなのか分からない。
仮に自分が今年35歳だとすると、65歳になるのは30年後の2056年だ。名前の年だけを見て「自分の年齢に近いもの」を選ぶと、安定運用に入る年なのか、お金が返ってくる年なのかを取り違えたまま積み立てることになる。この取り違えは、30年近く気づかないまま進む可能性がある。
手順1 名前の年が何の年かを確かめる

最初に見るのは、目論見書の「ファンドの目的・特色」と「信託期間」の欄だ。名前の年が安定運用の開始年なのか、信託期間の終わり(償還日)なのかは、ここに書いてある。信託期間が「無期限」になっていれば、名前の年に運用が終わるわけではない。
自分は月3万円を毎月10日に積み立てていて、これを長く止めないつもりでいる。そういう積立なら、名前の年で運用が終わってしまう商品か、その後も持ち続けられる商品かは、最初に分けておきたい違いだ。
手順2 目標の年を過ぎた後の運用を確かめる
次に、目標の年を過ぎた後の配分を確かめる。協会の例では、目標の年に資産の大部分を国内債券や短期金融資産に置き、その後は比率を変えない。ただ協会自身が「あくまで一般的な例」で、商品設計と運用方針はファンドによって違うと注記している。
| 目論見書で見る欄 | 確かめること |
|---|---|
| ファンドの目的・特色 | 名前の年が安定運用の開始年か償還の年か |
| 信託期間 | 償還日があるか、無期限か |
| 投資の方針(資産配分) | 目標の年までの配分の動かし方と、その後の配分 |
| ファンドの費用 | 信託報酬が配分の変化で変わるか |
自分は、目標の年の後にも株式をある程度残すのか、ほぼ債券と短期金融資産だけにするのかで、同じターゲットイヤー型でも中身がかなり違うと受け取った。ここは数字で書いてある所だけを読み、書いていない所は運用会社の資料で確かめる。
信託報酬も見ておく。株式が多い時期と債券が多い時期で、中身のマザーファンドの費用が違うことがある。自分は月3万円を30年積み立てると元本だけで1,080万円になる計算なので、年0.1%の差でも長く効くと考えて、費用の欄は数字を書き写してから比べるようにしている。
手順3 想定が外れた時の乗り換え先を確かめる
最後に、自分のリスクの取り方が想定とずれた時の逃げ道を見る。協会によると、ターゲットイヤー型は1本だけで出ていることは少なく、同じマザーファンドに投資する目標の年違いの商品がいくつか並び、その間を手数料なしで乗り換えられるものもある。そういうシリーズなら、想定から外れた時に目標の年が違う商品へ移れる。

協会は、退職後の資金だけでなく、子どもの進学資金・結婚資金・住宅購入資金のように使う年が決まっているお金に、その年を目標にした商品を当てる使い方も挙げている。新NISAのつみたて投資枠で買えるかどうかは、金融庁の「つみたて投資枠対象商品届出一覧」(運用会社別と対象資産別があり、2026年10月8日更新)で商品名を引いて確かめる。
自分がやる確認は次の3つだけだ。
- 名前の年が安定運用の開始年か償還の年かを、目論見書の「特色」と「信託期間」で確かめる
- 目標の年の後の配分を、「投資の方針」の数字で確かめる
- 目標の年違いの商品へ、手数料なしで乗り換えられるかを確かめる
休憩室で先輩に「年の入ったファンドは放っておけばいいやつだ」と言われたことがある。放っておけるのは、配分の動かし方を一度自分で読んで納得した後の話だと思う。
- 投資信託協会メールマガジン No.153(2008年3月5日発行)「ライフサイクルファンドって何?」 https://www.toushin.or.jp/mailmag/backnumber/pages/detail/153
- 投資信託協会メールマガジン No.154(2008年3月19日発行)「ライフサイクルファンドって何?‐2」 https://www.toushin.or.jp/mailmag/backnumber/pages/detail/154
- 金融庁 NISA特設ウェブサイト「つみたて投資枠対象商品」 https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/tsumitate/target/index.html