クレカ積立の上限は月10万円、証券会社ごとに約定した月で数える。2024年3月8日の府令改正と、未経験が最初の設定で決める3つ
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投資信託の積立は、クレジットカードで払うこともできる。その上限は月10万円で、2024年3月8日に公布・施行された金融商品取引業等に関する内閣府令の改正で、それまでの月5万円から引き上げられた。金融庁はこの改正の理由を、新しいNISAのつみたて投資枠が月あたり10万円になったことに合わせるためと説明している。この10万円は証券会社ごとに数え、その月に約定した買付の合計で判定する。未経験のうちに最初の積立設定をする時、この線をどう扱えばいいかを、金融庁が公表したパブリックコメントへの回答15件分の資料から整理する。

月10万円は、つみたて投資枠の月割りに合わせた線
クレジットカードで有価証券を買うことは、金融商品取引法で原則として禁止されている。お金を借りて投資するのと同じで、手元の資金より多く買えてしまうからだ。例外として認められているのが、毎月決まった額を自動で買う「累積投資契約」をカードで払う形で、金額の上限が府令で決められている。
金融庁の2024年3月8日の発表によると、改正のきっかけは2023年12月12日に公表された金融審議会の報告書だ。報告書は、新しいNISAのつみたて投資枠が月あたり10万円に引き上げられることを踏まえ、カード決済の上限を見直すよう提言していた。改正案は2023年12月19日から2024年1月19日まで意見募集にかけられ、6の個人と団体から延べ15件の意見が寄せられた。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 上限 | 月10万円(改正前は月5万円) |
| 公布・施行 | 2024年3月8日 |
| 対象 | 累積投資契約による買付(毎月の積立) |
| 根拠 | 金融商品取引業等に関する内閣府令 第148条第2号 |
| 線の理由 | つみたて投資枠 年120万円=月10万円に合わせる |
年120万円を12か月で割ると、ちょうど月10万円になる。カード払いの上限は、つみたて投資枠を毎月均等に埋める金額に合わせて引かれた線だ。
10万円は、証券会社ごとに、約定した月で数える
金融庁が公表した「コメントの概要及びコメントに対する金融庁の考え方」には、実際の数え方に関わる質問への回答が並んでいる。自分が積立の設定で迷いそうな所だけ抜き出した。
| 質問の中身 | 金融庁の回答の要点 |
|---|---|
| 10万円は証券会社ごとか | 「ご理解のとおり」=証券会社ごとに10万円を超えないこと |
| どの日付で月を判定するか | 基本的には売買の約定を指す |
| 休業日で約定が翌月にずれた場合 | 一時的に10万円を超えても、趣旨に反しない限り直ちに法令上問題とはならない |
| 同じ月にカード会社を変えた場合 | 同月に約定した合計が10万円を超えれば要件を満たさない |
倉庫の仕事でいえば、10万円は荷主ごとの1か月の出荷枠で、数えるのは出荷伝票の日付だ。荷主が違えば枠も別になる。同じ荷主のまま運送会社を途中で替えても、その月の出荷の合計が枠を超えればアウトになる。

自分のつみたての積立日は毎月10日だ。月の途中で積立日が休業日に当たって翌営業日にずれても、月をまたぐことはまずない。月末近くを積立日にしている人は、ずれた先が翌月になることがあり、上の3行目の回答がその場合の扱いになる。
月30万円への引き上げは見送られた
意見募集では、月30万円まで上げるべきだという意見も出た。つみたて投資枠と成長投資枠を合わせると年360万円、月にすれば30万円になるからだ。これに対して金融庁は、カード決済での購入は顧客の資力を上回る購入を可能にし、過当取引など投資家保護上の問題が生じるおそれがあるとして、さらに引き上げることには慎重な検討が必要だと答えている。
上場株式をカード積立の対象にしてほしいという意見もあったが、回答は、カード払いの対象は累積投資契約によるものに限られ、株券は監督指針で上場株券などに限定されている、というものだった。カード払いの話は、基本的に投資信託の毎月の積立の話だと考えておけばいい。
この回答を読んで、自分はカードの上限を「つみたて投資枠の分だけ」の線として受け取った。成長投資枠まで含めて毎月多く積み立てたい人は、10万円を超える分を別の払い方で用意することになる。
手順1 積立額を、払い方と別に決める

未経験のうちに一番やりがちなのは、払い方の上限に合わせて積立額を決めてしまうことだと思う。上限が月10万円だから10万円、という決め方だ。自分は物流倉庫で12年働いて、残業代が月5万円ほど上下する暮らしをしてきた。積立額は、その上下があっても止めずに払える額から決め、月1万円で始めて3か月後に月3万円へ上げた。
払い方の上限は、積立額を決めた後に「その額がこの払い方で通るか」を確かめるための線だ。月3万円なら、カード払いでも銀行口座からの引き落としでも上限には届かない。積立額が先、払い方が後という順番を逆にしない。
手順2 10万円を超える分の払い方を決める
月10万円を超えて積み立てたい場合、カード払いの10万円とは別に、証券口座の預かり金や銀行口座からの引き落としで積み立てる方法がある。カードの上限は、カード払いの分だけにかかる線だからだ。
| 積立額(月) | カード払いで通る分 | 別の払い方が要る分 |
|---|---|---|
| 3万円 | 3万円 | 0円 |
| 10万円 | 10万円 | 0円 |
| 15万円 | 10万円 | 5万円 |
| 30万円(年間投資枠をすべて毎月積立) | 10万円 | 20万円 |
表は1つの証券会社で積み立てる場合の分け方だ。カードのポイントの付き方や、カード払いに対応する時期・カードの種類の条件は、証券会社やカード会社ごとに違う。ポイントの率は途中で変わることもあるので、積立額を決める理由には入れない方がいいと思う。

手順3 カードを変える月は、合計を確かめる
カードを更新したり、別のカードに替えたりする月は、金融庁の回答にあった「同月に約定した合計」に気をつける。古いカードで1回、新しいカードでもう1回買付が入ると、その月の合計が上限を超えることがある。設定を替える時は、その月の積立がすでに約定したかを確かめてから切り替える。
自分がやっている確認は次の3つだけだ。
- 積立額は、残業代が少ない月でも払える額から決める
- カード払いの分が月10万円を超えていないかを、証券会社ごとに数える
- カードを替える月は、その月の積立日が過ぎてから切り替える
休憩室で先輩に「カードで積み立てるとポイントが付くぞ」と言われた時、自分は上限の話を知らなかった。線がどこに引かれていて、なぜそこなのかを知ってからの方が、積立の設定画面で迷う時間は短くなる。
- 金融庁「『金融商品取引業等に関する内閣府令』及び『金融サービス仲介業者等に関する内閣府令』の改正(案)に対するパブリックコメントの結果等について」(2024年3月8日) https://www.fsa.go.jp/news/r5/shouken/20240308/20240308.html
- 金融庁「コメントの概要及びコメントに対する金融庁の考え方」(別紙1) https://www.fsa.go.jp/news/r5/shouken/20240308/01.pdf
- 金融庁 NISA特設ウェブサイト「NISAを知る」 https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/nisa2024/index.html