「全世界」の中身は米国が64.21%。オルカンのベンチマークを2026年9月30日のファクトシートで開くと、上位10銘柄で25.40%。未経験が最初の1本の前にやる3つの手順
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「全世界株式」という名前の投資信託は、未経験の最初の1本として名前がよく挙がる。たとえば三菱UFJアセットマネジメントのeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)、通称オルカンは、MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(MSCI ACWI)をベンチマークにしている。そのMSCI ACWIの2026年9月30日時点のファクトシートを開くと、国別の比率は米国が64.21%で、日本は5.2%だった。2,414銘柄が入っていても、上位10銘柄だけで25.40%を占める。名前の「全世界」から、世界中に均等に散らばっていると思い込まないように、ファクトシートの読み方を稽古として3つの手順にまとめた。

オルカンの中身を決めているのは、MSCI ACWIという指数
インデックス型の投資信託は、決まった指数と同じ動きをめざして運用する。どの国のどの会社を、どれだけの割合で持つかは、運用会社が自分で選ぶのではなく、ベンチマークの指数の中身にそろえる。だから、ファンドの中身を知りたいときは、まずベンチマークの指数を調べることになる。
三菱UFJアセットマネジメントのファンドのページには、ベンチマークがMSCI ACWIだと書かれている。MSCIのファクトシートによると、この指数は先進国23か国と新興国24か国の大型株と中型株を対象にしていて、構成銘柄は2,414。世界中で投資できる株式のおよそ85%をカバーしている。
倉庫でいえば、ファンドは荷物を詰めた箱で、指数は箱の中身を決める出荷指示書にあたる。箱の外に「全世界」と書いてあっても、指示書を見ないと何がどれだけ入っているかは分からない。自分は箱のラベルより先に、指示書を開くようにしている。
もう1つ、指示書には書かれていない条件がある。MSCI ACWIは米ドルで計算した指数で、日本の投資信託はそれを円に直した値動きを追う。中身の6割以上が米国の会社なので、ドルと円の為替が動けば、株価が変わらなくても円での値段は動く。箱の中身の重さは同じでも、量る秤の目盛りが日によって変わるようなものだ。
国別では、米国が64.21%

ファクトシートの国別の比率を、そのまま写す。上位5か国と、それ以外の合計だ。
| 国 | 比率(2026年9月30日時点) |
|---|---|
| 米国 | 64.21% |
| 日本 | 5.2% |
| 台湾 | 3.46% |
| 英国 | 3% |
| カナダ | 2.9% |
| その他 | 21.22% |
47か国が対象なのに、米国1か国で3分の2近くを占めている。2位の日本は5.2%で、米国の12分の1ほどだ。上位5か国を除いた残りの国を全部足しても、21.22%にしかならない。
これは指数が手抜きをしているわけではない。MSCI ACWIは、それぞれの会社の市場での大きさ、つまり時価総額に合わせて比率を決めている。米国の会社の株が世界の株式市場で大きな割合を占めているので、指数の中でも米国の割合が大きくなる。国の数で均等に分けているのではなく、市場の大きさで分けている。
日本で暮らしていると、自分の国の会社がもっと入っているように感じやすい。自分も最初はそう思っていた。実際には、3万円を入れても日本の会社に向かうのは1割にも届かない。日本の会社の株を多く持ちたい人は、全世界株式の1本だけでは足りないし、逆に日本の比率を下げたい人には、ちょうどいい配分ともいえる。どちらが正しいかではなく、自分がどう持ちたいかを先に決めておく話だ。
上位10銘柄で25.40%、そのうち9つが米国の会社

ファクトシートには、比率の大きい10銘柄も載っている。
| 銘柄 | 国 | 比率 |
|---|---|---|
| NVIDIA | 米国 | 5.11% |
| Apple | 米国 | 4.76% |
| Microsoft | 米国 | 3.52% |
| Amazon.com | 米国 | 2.35% |
| Alphabet(A株) | 米国 | 1.97% |
| Taiwan Semiconductor Manufacturing | 台湾 | 1.87% |
| Alphabet(C株) | 米国 | 1.55% |
| Meta Platforms | 米国 | 1.55% |
| Broadcom | 米国 | 1.55% |
| Micron Technology | 米国 | 1.17% |
| 上位10銘柄の合計 | 25.40% |
10銘柄のうち、台湾の1社を除く9つが米国の会社だ。AlphabetはA株とC株で2行に分かれているので、会社の数でいえば9社になる。業種の比率を見ても、情報技術が33.21%でいちばん大きい。2位の金融の16.17%の2倍を超えている。
2,414銘柄のうちの10銘柄、つまり0.4%ほどの銘柄が、全体の4分の1を動かしている。倉庫の棚でいえば、2,414種類の品物を置いていても、重さの4分の1は手前の10個の箱が占めている状態だ。その10個の箱が落ちれば、棚全体が大きく揺れる。
ここまで読んで、上位の会社が不調になったらどうなるのかが気になった。答えは単純で、比率の分だけファンド全体の値段に響く。NVIDIAの株価が仮に10%下がり、ほかの銘柄が動かなかったとすると、ファンドの値段はその5.11%分、つまりおよそ0.5%下がる計算になる。逆に、比率の小さい会社がどれだけ伸びても、全体への効き目は小さい。
手順1 ファクトシートの日付を見る
最初の手順は、数字の横にある日付を確かめることだ。今回写した数字は、どれも2026年9月30日時点のものだ。指数の比率は株価が動くたびに変わるので、ファクトシートは毎月作り直される。来月には米国の比率が64.21%から少し動いているはずだ。
自分は数字を書き写すとき、必ず日付も一緒に書く。倉庫の在庫表も、棚卸しをした日が書いていなければ、いつの在庫か分からない。ネットの記事やSNSで「米国が6割」と見かけたときも、それがいつの数字かを確かめずに使わないようにしている。
手順2 国別の比率を自分の積立額で円に直す
次に、比率を自分の財布の金額に直す。パーセントのままだと、どれだけ偏っているかの実感がわかないからだ。自分のつみたては月3万円なので、仮にその3万円を全部この指数に連動する1本に入れたとして計算した。比率は9月30日時点のものを使い、円未満は切り捨てた。
| 行き先 | 比率 | 月3万円のうち |
|---|---|---|
| 米国の会社 | 64.21% | 19,263円 |
| 日本の会社 | 5.2% | 1,560円 |
| 上位10銘柄 | 25.40% | 7,620円 |
| NVIDIA 1社 | 5.11% | 1,533円 |
円にすると、3万円のうち19,263円が米国の会社へ向かう計算になる。NVIDIA1社に向かう1,533円は、日本の会社全部に向かう1,560円とほぼ同じだ。これは偏っているから悪いという話ではない。自分のお金がどこへ行くのかを、出荷の前に伝票で確かめておくための計算だ。
手順3 ほかの1本と並べる前に中身を書き出す

最後の手順は、2本目を考えるときの話だ。全世界株式にもう1本、たとえば米国株の指数に連動する投資信託を足すと、分散が広がるように感じる。でも中身を書き出すと、米国の会社の割合はかえって増える。2本目を選ぶ前に、1本目の国別の比率を紙に書いておけば、同じ荷物を2つの箱に分けて詰めているだけかどうかが見えてくる。
自分がやる確認は、次の3つだけだ。
- ファクトシートの数字は、日付と一緒に書き写す
- 国別の比率を、自分の積立額で円に直す
- 2本目を足す前に、1本目の中身を書き出して重なりを見る
倉庫に入ったばかりのころ、先輩に「箱のラベルは営業が書く。中身は伝票が決める」と言われた。投資信託の名前も、ラベルのほうに近い。名前で選ぶ前に、中身を決めている指数の表を一度開いておくと、あとで値動きに驚く回数が減ると思う。
- MSCI「MSCI ACWI Index (USD) Index Factsheet」(2026年9月30日時点) https://www.msci.com/documents/10199/a71b65b5-d0ea-4b5c-a709-24b1213bc3c5
- 三菱UFJアセットマネジメント「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」 https://emaxis.am.mufg.jp/fund/253425.html
- 金融庁 NISA特設ウェブサイト「つみたて投資枠対象商品」 https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/tsumitate/target/index.html