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師範 大地(30代・元物流現場職)

口座開設から最初の1本、積立を止めないまで

はじめの一歩

つみたて投資枠の371本から最初の1本を選ぶ。未経験の自分がかけた3回のふるい

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執筆:大地公開:カテゴリ:はじめの一歩

コーヒーカップの横に開いた罫線ノートと万年筆
コーヒーカップの横に開いた罫線ノートと万年筆

新NISAのつみたて投資枠で買える投資信託とETFは、2026年9月24日時点で371本ある。未経験者がこの一覧を上から眺めても、最初の1本は決まらない。自分は3回ふるいにかけて、371本を3本まで減らしてから選んだ。使ったのは金融庁が公開している一覧表と、目論見書の費用の欄だけだ。

371本は、もう国が一度ふるいにかけた後の数

いろいろなものをのぞく虫眼鏡のイラスト

倉庫でフォークリフトに12年乗っていた。投資の話は休憩室でたまに聞く程度で、2年前に新NISAの口座を開くまで、投資信託を1本も持ったことがなかった。最初に困ったのは、証券会社のアプリを開くと商品が多すぎることだった。

あとから知ったが、つみたて投資枠で買える商品は、運用会社が金融庁に届け出た商品に限られている。金融庁はその届出の一覧を、運用会社別と対象資産別の2通りで公開している。どの投資信託でも買えるわけではなく、371本という数は、条件を満たして届け出られた商品だけを数えたものだ。ちなみに成長投資枠のほうは、特設サイトの注記で、毎月分配型の投資信託やデリバティブ取引を用いた一定の投資信託などが対象から外されている。枠によって買える商品の決まり方が違う。

金融庁が2026年9月24日時点でまとめた内訳はこうなっている。

種類国内内外海外
公募投信(株式型)67本36本95本
公募投信(資産複合型)5本154本3本
ETF5本―6本

全部足すと371本。いちばん多いのは内外の資産複合型、つまり日本と海外の株や債券を組み合わせたバランス型で、154本ある。

1回目のふるい インデックスの287本に絞る

金融庁のもう1つの資料、対象資産別の届出一覧(2026年9月18日版)は、商品を3つの箱に分けている。

  • 指定インデックス投資信託 287本
  • 指定インデックス投資信託以外の投資信託(アクティブ運用投資信託等) 73本
  • 上場株式投資信託(ETF) 11本

最初の1本は、287本のインデックス投信から選べばいい。インデックス投信は、日経平均やS&P500のような指数と同じ値動きを目指す商品で、中身の説明が指数の名前1つで済む。未経験のうちは、自分が何を持っているかを一言で言えることのほうが、成績の良し悪しより大事だと自分は考えている。

アクティブ運用の73本には、指数を上回ることを狙う商品が入っている。悪い商品という意味ではない。ただ、運用の方針を読んで納得してから買う必要があり、最初の1本には向かない。ETFは証券会社によって積立の仕組みが違うので、これも後回しでいい。

2回目のふるい どこの国の株を買うかを決める

地球儀のイラスト

287本のインデックス投信は、連動する指数ごとに並んでいる。一覧を見ていくと、日本株ならTOPIXや日経平均、海外なら全世界株式、先進国株式、米国のS&P500などが並ぶ。ここで決めるのは商品名ではなく、どの範囲の株を持つかだ。

自分は全世界株式にした。理由は2つある。どの国が伸びるかを自分では当てられないこと。国の比率を運用会社が指数に合わせて自動で入れ替えてくれること。米国株だけのS&P500を選ぶ人も多く、それも筋は通っている。ただ、未経験で国の配分まで考えて決めるのは荷が重いと感じた。

範囲を決めると、候補は一気に減る。たとえばS&P500に連動するものは、9月18日版の一覧で数えると19本ある。19本とも、持っている株の中身はほぼ同じになる。

3回目のふるい 同じ中身なら、信託報酬の安いほう

中身が同じなら、差がつくのは持っている間ずっと引かれる費用、つまり信託報酬だ。金融庁の資料には、指定インデックス投信の信託報酬の平均も載っている。投資先が国内のものは平均0.27%で、法令上の上限は0.5%。投資先が内外・海外のものは平均0.34%で、上限は0.75%となっている。

自分は候補を3本まで残し、それぞれの交付目論見書の「ファンドの費用・税金」の欄を開いて、信託報酬の率を書き写した。3本とも年0.1%前後で、差は0.05%もなかった。このくらいの差なら、どれを選んでも大きくは変わらない。最後は、自分が使っている証券会社で100円から積み立てられるかどうかで1本に決めた。

投資先を内外・海外とする指定インデックス投信 平均0.34% 法令上の上限0.75%金融庁「つみたて投資枠対象商品の概要について」(2026年9月24日時点)より

0.1%と0.75%の差は、20年で83万円になる

複利と単利を比べたイラスト

年0.1%と0.75%の違いは小さく見える。月3万円を20年積み立てる場合で計算した。費用を引く前の利回りは、どれも年5%と仮に置いている。

信託報酬(年)20年後の評価額元本との差
0.1%12,089,052円+4,889,052円
0.34%(海外インデックスの平均)11,772,727円+4,572,727円
0.75%(海外インデックスの上限)11,254,177円+4,054,177円

元本はどれも720万円。0.1%と0.75%では、20年後に834,875円の差がつく。利回り5%は説明のための仮の数字で、実際の運用成績は毎年上下し、元本を割ることもある。ただ、費用の差だけは相場と関係なく毎年同じ向きに効き続ける。ここは未経験者でも確実に取れる差だ。

自分が最初の1本で外したもの

ふるいにかける途中で、候補から外したものがある。

ひとつは、名前にテーマが入った商品。一覧はつみたて投資枠の対象だけなので数は少ないが、特定の業種や地域に寄せたものは値動きの理由を自分で説明できない。

もうひとつは、ランキング上位だからという理由だ。人気の順位は、自分に合っているかどうかとは関係ない。休憩室で先輩に「みんな買ってるやつでいいよ」と言われたが、自分が何を持っているか説明できない状態で積み立てを続ける自信がなかった。

逆に、外さなかったものもある。為替ヘッジのない海外株式の商品だ。円高になれば値下がりするが、20年積み立てるなら為替の上下も含めて受け入れると決めた。

積立額は、枠の上限ではなく生活から決める

貯金をするイラスト

金融庁の特設サイトによると、つみたて投資枠の年間投資枠は120万円、成長投資枠と合わせると年360万円で、生涯の非課税保有限度額は1,800万円ある。月にならすと、つみたて投資枠だけで毎月10万円まで入れられる計算だ。

自分は最初、月1万円にした。倉庫の仕事は繁忙期と閑散期で残業代が月5万円ほど上下する。少ない月でも止めずに払える額にしておきたかった。3か月続けて、生活費の口座が一度も足りなくならないのを確かめてから、月3万円に上げた。

非課税の枠は、使い切らなくても罰はない。使わなかった枠が翌年に繰り越されることはないが、生涯の1,800万円の枠は、売却すれば翌年以降に買った時の金額ぶん空きが戻る。枠を埋めることを目標にすると、生活が苦しい月に積み立てを止めることになる。それなら最初から小さく始めて、止めない額で続けたほうがいい。

口座を開いてから最初の引き落としまで

自分の場合、ネット証券にNISA口座を申し込んでから、税務署の確認を経て口座が使えるようになるまで2週間ほどかかった。積立の設定はその日のうちに終わる。引き落とし日の関係で、最初の買い付けは翌月になった。申し込みから最初の1本が口座に入るまで、合わせて6週間くらいだった。

この6週間のうちに、金融庁の一覧表を開き、上の3回のふるいをかけておくといい。口座が開いた日に迷わず設定できる。

商品を決めたあと、最初の90日でやることはひとつだけだ。値動きを毎日見ない。自分は最初の1か月、アプリを1日に何度も開いて、マイナスの日は気分が沈んだ。3か月目からは月に1回、給料日にだけ見ると決めた。それで積み立てが止まらずに続いている。

本記事は2026年9月時点の金融庁の公開資料と筆者の経験に基づく一般的な情報提供であり、特定の金融商品の勧誘や推奨ではありません。表の評価額は年5%の一定利回りを仮定した計算上の目安で、将来の運用成果を示すものではありません。投資信託は元本割れの可能性があります。最新の商品一覧と各商品の目論見書をご確認ください。
出典

大地 30代。物流倉庫の現場で12年。2年前に未経験から新NISAを始めた。数字は金融庁の資料と目論見書で確かめてから書く。

投信用語 15問稽古

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    用語の説明は一般的な意味です。個別の商品の条件は各商品の目論見書でご確認ください。